国鉄型車両を巡る旅~その4~583系急行「きたぐに」
列車を乗り継いではるばるやってきた新潟は夜になっても人の減らない大都会だった。新幹線に加え、磐越西線のキハ47やキハ110などのディーゼルカー、時間帯によっては蒸気機関車と賑やかな駅である。ところで改札に面したホームは特急が使うのが通例だが、この駅では優等はすべて階段を使わされる。「いなほ」は新幹線の隣のホームとしても、「北越」ぐらい1番線に停めろよ…
もう観光とかどこにも行く時間でもないので駅構内を歩いてマツモ○キヨシとヨド○シカメラを物色した後待合室のベンチに座り、持参したPSPで時間を潰す。
22時27分、3番線に大阪行き夜行急行「きたぐに」が入線。今回の旅のメインである583系に乗って帰ることにする。
583系は同じ車両を座席としても寝台としても使え、国鉄の車両製造数や車庫の建設を抑えるという目的で製造され、昼も夜も走るモーレツさは高度経済成長期を象徴していた。山陽・東北新幹線の開業でそこまでする必要がなくなり、逆に時代の変化で昼はボックスシートが、夜は三段寝台が「特急として」嫌われる半端者となってしまった。しかしガチなサービスを追及しない急行列車や臨時列車では「1編成車庫に留置するだけで多様な需要に対応できる」「電車でスピードが出るためダイヤ作成がブルートレインより楽:」などといった使い勝手の良さからJRになってからもシュプール号や甲子園臨で活躍してきた。特に大阪―新潟間の夜行急行「きたぐに」では座席需要も寝台需要もあることから同じ車両で両方対応できる583系は相性が良い。1985年に583系が「きたぐに」で使われ始めて今年で26年、「第二の人生」のはずが山陽線や東北線の特急で活躍した全盛期よりも長い。しかし国鉄時代にすでに厄介者扱いされながらもJRで大活躍した583系だがさすがに物理的な寿命には逆らえず、現存するのは「きたぐに」運用分30両とと仙台の波動用(ディズニーリゾート行き団体列車とかに使われるらしい)6両だけである。
さて、「きたぐに」は本来10両編成だが、今夜は増結されて12両編成になっている。波動用の車両は既に廃車されているので予備編成を崩しているのだろう。こんなことなら波動用少しは残しておけと…「シュプール号」廃止されても宗教臨とかで稼働率高かったのに。増結されていてもグリーン車・寝台車の指定券は売り切れ、自由席も途中から大勢乗ってくるので詰めてくださいとの放送。盆のド真ん中でさほど混むとは予想しておらず、実際2週間前でも車両中央下段のベストポジションが取れたのでこれだけの乗客がいるのは正直驚いた。
寝台券は持っているのだが、横になるまでのしばらくの時間を座席車で過ごすことにする。以前583系に乗ったのはオール寝台の「シュプール号」だったし、広いボックスシートは419系や715系で体験済みだが急行用として整備された583系の座席車に乗るのは初めてである。座り心地は上々で昔リクライニングの夜行バスでの寝不足を419系で補ったこともあるくらいである。しかしここで寝たら寝台取った意味がないので寝台車へ移る。
久しぶりに乗る583系、せっかくだからパン下(屋根高さが中途半端で上段が設置できないパンタグラフ下の中段寝台)を試そうかと思ったがパンタの摩擦音がうるさいという話もあるしデッキかトイレにも近いのでどうかと思い王道の下段寝台で寝る。三段寝台とはいえ、中段寝台は座席時の背もたれの高さなので下段はそれほど狭さを感じない。座高が高くない限り上体を起こすことは可能である。もっとも年を取って体が硬くなれば横になったまま備え付けの浴衣に着替える器用なマネはできなくなるかもしれないし、そもそも直立できないので着付けがちゃんとできない。客車寝台と違ってボックス内に立てず荷物棚も無い。たしかに不便な車両である。しかし横になってしまえば広々としているのが583系下段の魅力。奮発してレア車のA寝台車にしようかとも思いましたが横になるとB寝台と全く変わらないのでやめました。
私は汽車慣れしていることや、旅の疲れもあって眠ることができました。途中数時間おきに目が覚めましたが(眠りの浅い周期は揺れで簡単に冷めるのだろう)、また眠ってしまいます。しかし5時を過ぎてトイレに起きると、窓の外が明るくなったこともあって眠れなくなり、意識を保ちながらもベッドでボーッとすることに。
終着大阪には6時49分に到着。たった1日の旅でしたがようやく帰ってきました。廃止も近そうだと思って乗った「きたぐに」が意外と混んでいたのは嬉しいのですが、583系の老朽化だけでなく新幹線との絡みで楽観できない状況です。大阪―富山間だけでもサンダーバード車両で残してくれないものでしょうか?
大阪からは快速電車で神戸に帰りますが、221系のシートのモケットが変更されていました。「JRの新車」としてもてはやされて22年、ようやくリニューアルの手が回ってきたようです。
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